連載 病院組織コーチング・7
どうしたら真のチーム医療が実現するのか—コーチングの活用とその意義
吉田 穂波
1
1国立保健医療科学院生涯健康研究部
pp.1010-1012
発行日 2016年12月1日
Published Date 2016/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210388
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■医療・健康分野に携わる人が幸せに働くために
2015年9月25日に国連総会で「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」が採択された.これは,世界が将来にわたって持続的に発展するために,世界全体が今後15年間で目指すべきゴールであり課題である.病院経営や医療安全には一見関係がないように見える,この国際社会の目標が,実は私たちと共通の目標を掲げている.例えば9番目の「産業促進・イノベーション・インフラ構築」,10番目の「不平等の是正」,11番目の「持続可能な都市および社会」がなければ,病院経営も危機的な状況に陥る.ビジネス界では,平和で豊かな社会を作ることが企業や組織のビジネス環境・発展条件・機会を与えてくれるとの理解が広がっており,民間企業にとって,SDGsの17ゴールに取り組むことは社会貢献ではなく採算などを踏まえた戦略として捉えられるようになりつつある.
SDGs時代には,民間企業はじめ,どの組織も地域に貢献することが求められる.どのような疾患であれ,患者であれ,その治療を支える生活基盤と無関係ではいられない.病院も,院内はもちろん地域を含めたより大きな視点に立ち業種や領域を超えた大きなチームを考える時代に来ている.地域の保健システムや制度,社会的インフラと連携することで病院自体の連帯感が強まるという効果もある.これからの時代の真のチーム医療とは,地域社会に貢献し,従業員の健康や安全を守るという広い視点から,より病院の価値を高めていくものである.
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