連載 医療・病院をめぐる文献ガイド・9
医療の質評価について知るための文献
小林 美亜
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1千葉大学医学部附属病院 病院長企画室 地域医療連携部
pp.882-885
発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210360
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■医療の質評価に関する動向
医療の質評価に当たって,「質」とは何かということを定義しなければならない.しかしながら,医療提供者,医療機関,行政,患者らのそれぞれの立場によって,医療の「質」に対する捉え方には相違がある.このため,医療の質を評価する目的にも違いが生まれ,定義も異なってくる.例えば,医療提供者であれば,実際に提供した医療とその成果を評価し,治療方法の改善を図ることが必要か否かを検討することに関心がある.また医療機関にとっては,組織存続のために,患者から高い評価と信頼を得られる公表結果となっているかが大きな関心事である.患者にとっての関心は,安心かつ安全な治療によって自分が期待する効果を得ることができるかどうかである.
しかし,医療の質を捉える立場がどうあれ,医療の質を定量的に測れるように指標を作成し,質の良し悪しを判断する基準(規範的な行動とそれによって保証される成果)を設定することができなければ,医療の質評価を通じて,それぞれの立場から必要とされる改善につなげることはできない.そこで,医療の質とその評価手法を踏まえながら,日本国内外における医療の質評価の活用の実際を知り,今後の課題を検討することに役立つ文献を紹介したい.
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