連載 病院組織コーチング・3
[コーチング概論・2]聞くことと質問すること
黒川 信哉
1
1株式会社コーチ・エィ 医療チーム
pp.633-635
発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210302
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前回,リーダーが他者に対する影響力を発揮していく上で,コーチングを学び,実践していくことは重要な要件の一つであると述べた.今回から3回にわたり,コーチングの具体的なスキルを紹介する.コーチングスキルとは,誰かによって新しく創られたものではなく,コミュニケーションがすでにうまくいっている人の行動を体系化したものである.今回は,病院組織のリーダーに焦点を絞ってスキルを紹介するが,米国では糖尿病1)や心血管系疾患2)の対患者コーチングにおいても論文が発表されるなど,医療現場での応用も進んでいる.
今回紹介する「聞く」「質問する」スキルは,100種類以上あるスキルの中でも最も重要である.相手の話を聞くことが大切だということは広く認識されているが,実際に「聞く」という行為について本当に理解している人は稀であり,ましてやそのトレーニングを受けたことがある人はほとんどいない.また,質問する行為は,相手が「わかったつもり」になっている状態から,「まだわかっていないことがあった」ということに気付かせ,行動に導く力がある.コーチの重要な役割は相手の主体的な行動を引き出し,目標を達成させる」ことである.相手の話を聞き,問いかけることを繰り返すことで,相手が自分自身で気付いて行動していくよう促せるのである.
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