連載 病院組織コーチング・4
[コーチング概論・3]タイプ分けと承認
黒川 信哉
1
1(株)コーチ・エィ 医療チーム
pp.726-728
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210323
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■なぜコミュニケーションにおける個別対応が必要か
今回は,コーチングをする際に重要な要素の一つである「個別対応」の関わり方を紹介する.個別対応とは言うまでもなく,「人はそれぞれ違う」という認識をもって,人と関わっていくコミュニケーションの方法である.相手をうまくいかせるために,自らを相手に合わせていく関わり方は,ビジネス,医療,教育などさまざまな分野で求められている.しかし,その実現が難しい背景には,個別対応の具体的な「方法」を学ぶ機会が少ないことが挙げられる.
組織では管理職になると,これまで自分が育てられた体験にもとづいて部下に関わることが一般的に多く,自らの成功体験を部下にも求めることがある.しかし,それは市場の変化,グローバル化,若手世代との価値観の違いが顕著な昨今では通用しない.とりわけ病院組織のリーダーにとっては,直属の部下だけでなく他職種のチーム医療メンバーとの関わりも重要である.その中で,これまで成功してきたスタイルを貫き通すことは,人が育たないだけでなく,何らかのリスクにつながる可能性もある.そこで「人はそれぞれ違う」という当たり前のことを再認識し,相手の職種,経験,能力,コミュニケーションスタイルなどを観察・把握しながら,「個別対応できる能力」を高めていくことが今,求められている.
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