特集 病院は経済成長に寄与するか
巻頭言
神野 正博
1
1社会医療法人財団董仙会 恵寿総合病院
pp.333
発行日 2011年5月1日
Published Date 2011/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101947
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時の政府は「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」を謳った.はたして,この3つの「強さ」は並立するのであろうか.わが国の経済は,予想を超える円高と新興国の勃興によって厳しい環境下に陥り,閉塞感にあふれはじめてきた.さらに中東情勢の不安定化は原油価格高騰を招き経済に暗い影を投げかける.これらに伴う税収不足は財源不足となり,今後急速に迎える少子高齢社会に向かっての社会保障に多くの国民は不安を感じざるを得ない.そのような中で,国民の誰もが,自動車や電機に代わって日本経済を牽引する産業の出現に期待する.
このような背景のもとで,にわかに医療・介護分野への期待感が広がる.すなわち,経済産業省が中心に進める『産業構造審議会産業競争力部会・産業構造ビジョン2010』『産業構造審議会基本政策部会』『医療産業研究会』や閣議で決定された『新成長戦略~「元気な日本」復活のシナリオ~』『新成長戦略実現2011』などで医療に対して,産業として,また雇用の吸収先としての過大かとも思える期待感が高まっているのである.
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