特集 地域の活性化に病院は貢献するか
巻頭言
神野 正博
1
1恵寿総合病院
pp.197
発行日 2007年3月1日
Published Date 2007/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100515
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驚異的なスピードで進む少子高齢化.その中で,病院は過去の成長体験から決別し,新たな発展モデルを模索する必要が出てきた.また,財政再建の視点では,コストとしての医療,介護や福祉にかかる経費の削減が叫ばれている.
このような背景のもとで,われわれの業態を「削減すべきコスト」という位置付けから,「伸ばすべき産業」という位置付けで発展を図る必要がある.病院と他産業との一番の違いは他に類を見ない地域密着産業であることだといえよう.なぜならば,ユーザー(患者)と病院はあくまでも人と人との繋がりであり,いかに優良なサービスを提供したところでほとんどの病院の90%以上の患者は地域住民に違いなく,ユーザーから離れた海外移転などは考えられないからである.さらに,労働集約型である医療サービスを提供するのに必要な職員もまた,日本語を母国語とする地域の住民であることも忘れてはならない.ならば,病院の発展は地域の発展と運命共同体であり,地域の活性化・発展なくして病院の発展は成り立たないものと考えたい.
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