今日の視点
痴呆老人ケアの現状と今後の対応—現場臨床医の眼
田中 多聞
1,2
Tamon TANAKA
1,2
1福岡大学医学部
2原土井病院デイ・ケアセンター
pp.633-639
発行日 1987年8月1日
Published Date 1987/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209110
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
痴呆は老人の"最後の友"
痴呆dementiaはdement (狂気),ia (病態)で,病名でなくsyndromeである.demented syndrome (DS)の原因は脳の器質的損傷,中毒,腫瘍,脳外術後後遺症,その他原因は多種多様である.著者の臨床医学的研究によると,dementiaはAlzhei-mer's disease(AD),senile dementia of Alzheimer type (SDAT),depressive pseudodemen-tia(PD),vascular dementia(VD)が主要原因疾患と考えられていたが,CT像ではVD+SDAT, multi-infarct dementia(MID)+SDATの混合型が多く,表1に示すごとく諸家の報告にもこのことが示されている.DSを呈する初老期,老年期の患者数は臨床各科(小児科を除く)に多数訪れ,また入院中にDSを現すことは多くの臨床医が経験している.本論文は主題に基づき論じたい.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.