寄稿
トータルケアと病院内グループ
卜部 宏
1
Hiroshi URABE
1
1日本バプテスト病院産婦人科
pp.433-435
発行日 1987年5月1日
Published Date 1987/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209067
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医療集団のあり方を中心に考えてみると,病院というものは人間の生き様に似て,実体のある面と,無実体(観念的で抽象的)な面を表現しながら,ある地域社会の中で生き物のように生かされている存在物であるといえよう.現代医療は政治の関与,医学の急速な発展,多様化・細分化,そして社会の要請の多様化など多くの問題提起を受けて,医療のあり方のより好ましい姿について様様な認識があり,迷いの中に突入していると理解している.私は医療行為を遂行するに当たって,専門職と呼ばれる医療関係職種の増加に伴う責任の分散化をどのように統合して行けば,病院の特色が明白になるか,を考えている.
現実に医療を患者中心に考えて遂行するために,多くの医療関係者が自分の仕事を忠実に実行し,しかもそれが医師のコーディネイトによって完成されていることは言をまたない.この関係は,時代によっても決して変わることのない基本であることを理解した上で,「一人の患者を大切にする」ということを中心に,病院という集団の基本的あり方の一面を理論化してみたい.
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