連載 変化する病気のすがたを読む・8
病気のすがたの未来像
倉科 周介
1
Shiusuke KURASHINA
1
1東京都臨床医学総合研究所診療方法論研究室
pp.339-343
発行日 1987年4月1日
Published Date 1987/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209047
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1.予測の伝承
過去と現在の病気の姿は,一応見渡せるところまでたどり着いた.病気とはいっても,それを縁取る死という外枠の眺めだけだが,それでも今までとはかなり違ったものを見ていただけたのではないだろうか.
話の順序からすれば,次は当然,将来のことになる.言うのは簡単だが,これが一筋縄では行かない.過去の復元も並大抵の努力ではなかったが,ともかく確定した事実が相手だから,あれこれと臆測を働かせることは少なくて済む.ところが未来となれば,これは徹頭徹尾臆測でしかない.もったいぶって推測とか推計とか言ってみたところで,内容が不確定なことに変わりはないのだ.将来推計は堅気の人間がやることではないと,老練な統計学者が言ったそうだが,ことの一面をよく表した言葉だろう.
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