連載 変化する病気のすがたを読む・7
病気のすがたの鳥瞰図
倉科 周介
1
Shiusuke KURASHINA
1
1東京都臨床医学総合研究所診療方法論研究室
pp.251-256
発行日 1987年3月1日
Published Date 1987/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209027
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1.死のすがた
さて,準備はひとまず整った.SAGEはコンピュータという身体と手足を得た.その脳には1899年(明治32年)から1984年の今日までの,日本国民の死亡に関する大規模なデータが詰まっている.その脳裡に描き出された風景を,おもむろにのぞいてみよう.われらの父祖の死について,SAGE worldは果たして何を語ってくれるだろうか.
まずは図1をご覧願いたい.右上がりの太い帯状の範囲に何本もの曲線が互いに交差することなく蛇行している.似たようなものを見た記憶はないだろうか.そう,国土地理院の5万分の1の地図だ.この図もあれと同じで等高線の集合からできている.この平面は先刻ご承知の世代マップ,そして高さは各地点の死亡数である.だからこの図を死亡地形図または死亡等高線図(death con-tour map)という.時代とともにどんな年齢,どんな世代に死亡が増減しているかを,この図は一目瞭然に教えてくれる.そこで,死亡の全体像を鳥瞰することから始めよう.
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