時評
アルコール依存症の呪縛
小野 重五郎
Jugoro ONO
pp.175
発行日 1987年2月1日
Published Date 1987/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209012
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アルコール依存症(以下「ア症」と略す)ほど,現代医学の診断・治療の方法論,医療機関の運営,健保制度など要するにおしなべての現代医療の弱点をみごとに衝いている疾病はないのではないか.
早期診断は迷惑がられ拒否されるので早期の治療は存在しない.アルコール消費量は著しく伸び,ア症が著増していることは間違いないが,これに対応する医療体制の拡充はみられない.ここではマーケットの原則が機能していないのである.それだけではなくア症に対する医療機関の側のガードはより固くなっているようにさえみえる.
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