動き
現在の精神病院における問題点
元吉 功
1
1明治学院大学社会学部社会福祉学科
pp.337-340
発行日 1970年4月15日
Published Date 1970/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201604
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Ⅰ.国公立精神病院と私立精神病院の機能分化は可能か
(1)公的医療機関の病床規制(医療法第7条の2第1項)に関する医療審議会は厚生大臣の諮問に対して,昭和43年12月25日答申を出したが,この答申において,精神病床に関しては,必要病床数を従来の数値;人口万対20床を25床に変更した(ただし老人性精神疾患,小児精神疾患その他厚生大臣の定める疾患については加算できる。この数値は昭和44年および45年において使用される)。審議の経緯,算定方法などについてはくわしく報じてある(日本精神病院協会報1969年2号)ので省略するが,答申書の5項目の附帯事項のうち,とくに第1項で,「医学の進歩と疾病構造の変化に応じて地域の医療体系を整備するため,医療機関の機能の明確化,医療機関相互間の有機的な連携等の観点から,公的医療機関のあり方に関する諸問題について検討に着手すべきである。また,公的医療機関に関する統合整備および財源の負担区分の確立についても検討が加えられるべきである。これらの問題に関しては,本審議会の立場からも引き続き検討する必要があると認める。」と記している。この趣旨に沿って,審議会の中に小委員会が設置され,本年に入り既に3回の会合を重ねている。要するに,審議会が厚生大臣から出される必要病床数の数値についてのみ,その都度審議するだけでなく,医療体系の根本問題についても十分討議すべきだということである。
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