特集 「医療法改正」の焦点
地域医療計画実施の問題点
石原 信吾
1
Shingo ISHIHARA
1
1厚生省病院管理研究所経営管理部
pp.25-29
発行日 1984年1月1日
Published Date 1984/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208211
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昨年3月,地域医療計画の策定と医療法人の指導監査の強化を骨子とする医療法改正案が国会に提出されたことにより,地域医療計画の問題はいよいよ実現化のスケジュールに乗ったものと見てよく,その実施を前提とする議論を広く行うべき時期が来たと言える.特に,この医療法の改正は,昭和23年に法が制定され,25年に医療法人制度を,また37年に公的病床規制をそれぞれ実施するための改正がなされて以来の大幅な改正で,しかもそれが我が国の医療制度の根幹にかかわるものである以上,これに対する議論は全国民的レベルで十分に尽くす必要があろう.中でも医療関係者がこの問題に全力を挙げて取り組むべきことは,直接の利害関係者としてだけでなく,この問題に関する知識を最も多く持つ者の義務としても当然である.
いずれにしても,今回の医療法の改正にもしそれなりの必然性があるのであれば,その必然性については社会の共通の認識が得られなければならない.それがなければ,法案そのものについての十分な社会的合意も得られないであろう.同時にまた,法案の目指す内容そのものも,その必然性を十分満たすとともに,今後の我が国の医療制度を方向付ける上で最も適正な実質を備え,かつその実現可能性が十分保証されるものでなければならない.
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