レポート
医師急増とポスト確保—医師と医局と関連病院,そして医療と患者
本誌編集室
pp.669-674
発行日 1985年8月1日
Published Date 1985/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208644
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医局と関連病院
今,医師の世界が大きく変わろうとしている.医療費抑制のもと医師が急激に増えている.売手市場から買手市場へ,年々,医師のポスト確保が困難になりつつある.医師の世界に象徴的な,教育と人事の中枢である"医局"ではポスト確保に懸命だ.今,「三つの民間病院を取るなら,小さくてもいい一つの公立病院を取っておけ」という至上命令が下っている.中小の民間病院の経営が困難になりつつある今日,医局にとって一つでも多くの公立病院のポスト獲得は焦眉の急である.民間病院に比べ人事,経営そしてポスト確保など医局の自由が効く公立病院は極めて重要な拠点である(表1).公立病院を持てば,医局員の教育病院の確保,調査研究対象地区の拡大,本院の診療地域の拡大にもつながる.それは多くの医局員のゴールである開業地域の拡大,そして開業後のトラブルや急病や旅行の際の代診などのきめの細かいアフターケアを,関連病院を基地に展開できるという医局員への大きな保証にもなる.関連病院側からは医局に安定した医師確保,新しい医療技術の導入,病院の能力を越える患者の後方病院の確保などの機能を期待できる.医局配下の関連病院のポスト数は医局の魅力,ひいては勢力拡大にも直接つながるためますます重要になってきている.
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