特集 大学病院と関連病院との関係を問う
大学医局と自治体病院
小山田 惠
1
1岩手県立中央病院
pp.139-141
発行日 1996年2月1日
Published Date 1996/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901723
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はじめに
私は1955年東北大学を卒業し,外科学教室に入局した.心臓外科を専攻し,1969年現在の病院に赴任して心臓外科の診療に没頭,1989年病院長に着任し現在に至っている.したがって大学医局での生活は30年も古い時代のことだから,医局についての認識も今の実情とかなり違うものであろう.本誌編集者から表題のような原稿を書くようにとの要請であるが,私には今の大学医局と医局制度を批判する資料もないしそのつもりもない.自治体病院の院長としての立場から大学医局との関係の在り方を述べて,その責を果たしたいと思う.
さて激しく変動する現在の医療環境のなかで自治体病院の健全な運営と発展を図るために最も必要なことは,まず,病院運営の基本方針を病院職員のだれにでも判るようにつねに明確にしておくことと,病院の全職員が病院運営について細部にわたって共通認識をもって事業推進に努力することである.そのなかで,病院医療の主役である医師の果たすべき役割が大きいことは言うまでもないことであるが,その医師の志向が病院ではなく大学医局にとらわれていたり,病院医師の人事権が大学医局に従属していて採用はもとより転勤までも大学医局の指示でなされるようでは,病院の独自性ある発展などおぼつかないものである.
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