精神病院わが病院づくり
精神病院の内からの切開を試みて
芳賀 幸彦
1
Yukihiko HAGA
1
1東春病院
pp.519-523
発行日 1985年6月1日
Published Date 1985/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208610
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東春病院は昭和34年に設立された.春日井市は名古屋の北に隣接し,横に長いひょうたん状のベッドタウンである.北東部には巨大なアパートが建ちならぶ「高蔵寺ニュータウン」があり,西南部には小牧市,名古屋市北部に接した旧市街がある.当初の予想に反して,ニュータウンよりもこの旧市街のほうに人口の増加が著しくみられる.東春病院はこの春日井の中にあって,小牧線「春日井駅」と中央線「勝川駅」を結ぶ線上にある.昭和34年頃の病院は全くの田んぼの真ん中にあり,のどかな風景の中の「精神病院」であった.20年の歳月は周りをしだいに市街化し,やや雑然とした宅地と田んぼの混在した状態を形づくっている.20年の年輪は設立当初の木造病棟を極端に老朽化させ,その後建てた鉄筋コンクリートの病棟をも,重苦しく,汚なく,いかにも収容所といった印象を与える暗い建物に変えていた.それでも,入院患者は270人以上に膨れ上がっていた.7年前の東春病院の姿である.
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