特集 医療ソーシャルワーカーの現在
病院の運営管理面からみた医療ソーシャルワーカー
武内 昶篤
1
Nobuatsu TAKEUCHI
1
1社会福祉法人白十字会東京白十字病院
pp.850-853
発行日 1984年10月1日
Published Date 1984/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208417
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MSWすなわち医療ソーシャルワークほど,その必要性が説かれながら定着が遅れている職種も珍しい.
その理由としていくつかのことが考えられる.第一は「ソーシャルワーク」または「医療ソーシャルワーク」の定義が必ずしも明確とは言えないことにある.したがって,その業務領域があいまいとなる.結果として,何をする,何ができるのか,その専門性は何なのかが客観的に分かりにくい.第二に,医療の中心的役割,すなわち疾病の予防・治療の側面において医療ソーシャルワーカー(以下,MSW)が関与したか否かによる効果の違いが明確にはつかみにくい.第三に,医療の現場は,多少の様変わりはしているものの,病人を人間として,社会的存在として全人的にアプローチする,いわゆる患者中心の医療展開がいまだしの感がある….医師・患者関係ひとつをみても「診る側(強者)」と「診てもらう側(弱者)」から抜け出ているとは言えない.第四に,医療制度なり医療費の仕組みが,診療技術すなわち医師の行為または医師の指示に基づく行為を中心に構成され評価されていること.結果的に「医療ソーシャルワーク」の病院経済への直接的寄与が極めて乏しいこと.
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