特集 医療ソーシャルワーカーの現在
医療ソーシャルワーカーの現在
奥川 幸子
1
Sachiko OKUGAWA
1
1東京都養育院附属病院医療社会科
pp.844-849
発行日 1984年10月1日
Published Date 1984/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208416
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医療ソーシャルワーカーのしごと—その存在意義,役割と専門性
1.夢の中へby井上陽水—患者からのメッセージ
今年の夏の終わり,私は1年前から週に1度の定期面接を続けてきた患者から,手紙ともつかぬ強烈なメッセージを受け取った.それは四つ折りにたたんだレポート用紙に,ほんの2年あまり前までは利き手ではなかった左手で,たどたどしい筆跡ながらもくっきりとしたブルーと赤のボールペンで書かれてあった.その患者は,この春20歳(はたち)の誕生日を迎えたばかりだった.
ブルーで書かれた文は,ひと昔前に流行(はや)った井上陽水の詩(うた).その下にある赤のボールペンで記された文字は,彼の心の叫び.すべての夢を断ち切られ,絶望の淵に立った彼の悲痛な想いが,私の胸に深く突き刺さった.
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