特集 医療ソーシャルワーカーの現在
医療ソーシャルワークの可能性
鷹野 和美
1
Kazumi TAKANO
1
1組合立諏訪中央病院
pp.854-857
発行日 1984年10月1日
Published Date 1984/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208418
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人間が単に生物学的存在ではなく,心理,社会的存在である以上医療の場でその肉体と精神・生活環境とを分けて考えることは妥当ではない.医学が病巣のみに目を向けその技術・研究が高度化,細分化すればするほど多くの場合,診断・治療は表面的なものに過ぎず,医師は治癒した患者の再入院また不必要でしかも頻回な外来通院などに悩まされる結果となる.治療の効果を高めるためには,治療を妨げる社会的・経済的・心理的側面に対して考慮することが必要であるが,現在の医学は人間全体を診る学としては狭過ぎるため,他に専門の学と技術を必要とする.そうした必要から医療の中にソーシャルワークが導入されたのである.社会の複雑化・多様化・また他国に類を見ない急激な老齢人口の増加などに伴い,我が国の病院医療も新たな対応を迫られている.そうした活動に伴いどのような医療ソーシャルワークが可能なのか,当院の新しい活動を通じ論じてみたい.
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