シリーズ・病院経営
病院経営戦略論序説—2.経営理念と戦略の要素及びマネジメント・コントロール
田中 滋
1
Shigeru TANAKA
1
1慶応義塾大学大学院経営管理研究科
pp.713-716
発行日 1984年8月1日
Published Date 1984/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208388
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■経営理念の例
前回(4号)報告後,「経営理念とそれを受けた戦略決定のための心構え」について,非常に優れた例を入手したので,まずそれを紹介したい.アメリカ合衆国に本拠を置く,ある国際的なヘルスケア関連企業の事例である.製品やサービスのみならず,業績も従業員の扱いも卓越した企業と言ってよい.もちろん,病院事業との間に多少の差は存在する,しかし「経営の本質」レベルまで抽象化して考えれば,共通の概念規定から組み立てられたステートメントとして,尊重すべき内容を持つ(注1).
同社の経営理念を下に示す1).ここで注目すべきは重視の順序の明示である.「顧客—従事者—コミュニティ—出資者」という序列自体は,組織によって異なっても問題はない.むしろ,正に理念が違えば序列が入れ換わって当然と言えよう.大切な点は,平板な並列的提示を採らず,積極的に価値観の表出を実行している,という組織の自信にある.
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