特集 病院と「くすり」
医療費の抑制は薬価基準の適正化から
岡本 隆一
1,2
Ryuichi OKAMOTO
1,2
1京都私立病院協会
2医療法人岡本病院
pp.568-574
発行日 1984年7月1日
Published Date 1984/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208345
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ますます医療をゆがめる今年の医療費改定
大幅な薬価の切り下げとともに,今年もわずかな医療費の引き上げが行われた.全国の日赤病院の試算によると,病院によって違いはあるが,大体において3〜5%の収入減になるという.昭和56年以降,薬価の切り下げは通算40%,医療費の引き上げは通算して11.7%というものの,実質的には医療費は10%の引き下げになっている.
医療はサービス事業であり,その支出の5割近くが人件費である.昭和53年の改定以来6年ぶりの医療費改定が,通算して実質的に10%の引き下げでは,国公私立のいかんを問わず,すべての病院が職員のベースアップに頭を悩ますのは当然のことである.そこでいわゆるアダプテーションが行われる.薬の差益を追い,注射や検査を必要以上に行って,人件費を生み出そうとする.それが乱診乱療というものであるが,その原因については政府も,中医協も,ことさらに眼をふさいでいる.
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