特集 労使関係—今後の展開
病院賃金体系の再検討
古川 昇
1
Noboru FURUKAWA
1
1賃金労務管理研究所
pp.312-315
発行日 1984年4月1日
Published Date 1984/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208278
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病院賃金体系の特徴・問題点
病院の賃金体系の特徴の第1は,大部分の職種に国の免許,資格が必要であり,賃金額の高さも,賃金—基本給体系も,職種別に形成されていることである.このことは,労働力の需要が極めて限られた職種の範囲内で決められること,病院内での職種間の異動をほとんど不可能なものにしていることなど,いわゆる雇用の弾力性を小さくし,この面からの労働費用と病院業績との調整を困難なものにしている.
第2は,国公立及びこれに準ずる病院が多く,職種別の雇用者も,やはりこれらの病院のものが多く,その影響力が極めて強いことである.第1の点などとも相まって,賃金額の高さや賃金体系のあり方も直接間接,他にみられないかかわりを持っている.特に後に述べる年功色の強い賃金—基本給体系や退職金などの改善が民間の一般企業に比べて遅れていると思われる理由には,この点とのかかわりが指摘される.
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