特集 労使関係—今後の展開
低成長下における労使関係の基本的考え方
益田 啓作
1
Keisaku MASUDA
1
1横浜赤十字病院事務部
pp.300-303
発行日 1984年4月1日
Published Date 1984/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208275
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労使関係の基本的な考え方
世界の自由主義国家群と社会主義国家群のどちらの体制を支持するかはもちろん個人の自由である.かって総評が招待したワレサ委員長率いる「連帯」がポーランド政府に提出して突っぱねられた要求書には,「8時間労働制」,「基準外賃金の支給」,「言論の自由」,「集会,結社の自由」,「共産党員,秘密警察要員専用の店の廃止,及び優遇措置の廃止」とある.これらは自由主義国の労働者が享受している権利であり,後段に至っては,マルクスが生きていたら喫驚仰天するにちがいない.筆者はためらうことなく自由主義国家体制を選択する者であり,日本国憲法の基本原則である基本的人権,議会制民主主義を守ってゆく立場を取る者であり,自由主義社会における人権と社会主義社会における人権は違うなどと言う論にはくみすることのできない者である.
なぜこのような前提を述べるかというと,労使関係は,労使の目前の利害衝突を超えた立場で考えなければならないと思うからである.
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