特集 労使関係—今後の展開
病院医療の進展と労使関係の今後
松島 松翠
1,2
Shosui MATSUSHIMA
1,2
1長野県厚生連佐久総合病院
2長野県厚生連従組
pp.308-311
発行日 1984年4月1日
Published Date 1984/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208277
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はじめに—これからの病院医療
これからの病院医療は,二つの大きな問題を抱えている.一つは,医療費抑制が今後もずっと続くと予想される中で,病院経営がますます困難になっていくであろうということであり,もう一つは,キュアからケアへの時代の到来に際して,病院医療の本質的な転換が強く迫られているという点である.もちろんこの二つは無縁ではない.国民総医療費の高騰が,キュアからケアへの転換をいっそう余儀なくさせ,治療中心の病院医療を大きく変換させようとしていることは言うまでもない.
しかし,医療費抑制ということは一応別にしても,現在の病院医療はこのままでよいとは決して言えない.本来の医療ということから考えて,もっと地域と密着した真の意味の地域医療を実践していく必要がある.具体的に言うならば,「単に入院中心の医療だけではなくて,もっと地域へ出て,予防やアフタケアにまで踏み込んだ医療」を進めることであり,また「待つ医療から出る医療への転換(地域ケア)を図りながら,地域住民へ分かりやすい医療を提供し,病気のときだけでなく,日常的な健康問題についても相談にのり,地域住民(患者)とともに歩む医療1)」を展開することである.
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