特集 「医療法改正」の焦点
私的医療機関とその自主規制
木下 二亮
1,2
Jisuke KINOSHITA
1,2
1全日本病院協会
2成城木下病院
pp.34-37
発行日 1984年1月1日
Published Date 1984/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208213
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今般厚生省が「医療法改正」を議会に提案しているとりあえずのねらいとして二つの柱が言われている.その一つは地域医療計画であり,他の一つは医療法人の監督強化である.前者は医療の急速な進歩と高額化を踏まえた医療資源の効率的運用の必要性への対応策として,準備不足にもかかわらず提案せざるを得なくなったものである.後者は「富士見病院事件」を皮切りに国民の医療倫理に対する期待を裏切る事件を取り上げてのマスコミのキャンペーンに対する園田厚生大臣の「かっこうよさ」をねらった議会答弁の延長線上のものである.この提案に対して医師会も各病院団体も,医療法が陳腐化し,医療の進歩に対応できなくなってきている現状認識の上に立って,医療法の近代化抜本改正のきっかけをつかむという観点から,この提案を了承したのである.したがって,その提案に当たっては,自民党小沢委員会は日本医師会,日本歯科医師会,四病院団体連絡協議会の三者の代表を招き,その意見を聴くとともに,①医療供給体制の見直し,②医療従事者需給計画の見直し(医師数,看護婦数など),③一人法人問題,④医療法人における医業の継承を円滑にするための税制の改正,⑤医療法人設立認可に対する全国格差の解消,の五つを自民党の責任において修正案や付帯事項として盛り込むことを公約したのである.
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