特集 「医療法改正」の焦点
「医療法改正」に思う
長浜 二三則
1
,
小川 保一
2
,
高宮 澄男
3
,
新貝 修
4,5
,
海塩 毅一
6
,
澤 潤一
7,8
Fuminori NAGAHAMA
1
,
Yasuichi OGAWA
2
,
Sumio TAKAMIYA
3
,
Osamu SHINGAI
4,5
,
Kiichi KAISHIO
6
,
Jun'ichi SAWA
7,8
1肝属郡医師会立病院
2県立広島病院
3医療法人真愛会高宮病院
4成増厚生病院
5日本精神病院協会
6秋田県厚生連由利組合総合病院
7全日本病院協会
8さわ病院
pp.38-45
発行日 1984年1月1日
Published Date 1984/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541208214
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官民一体となった抜本改正を目指して
医療の官僚支配は厚生省の長い間の懸案であり宿題であった.武見日医の25年間は日医と保険行政との,この件をめぐっての対立抗争の歴史であったとよく言われている.現象的には武見前会長の政治力と論理の前に,官僚が国営化路線を一歩も前進させられない事実となって現れていた.現在までの日本の医療は世界に冠たるものであることは,出生児死亡率が世界一低いこと,平均寿命が急速に伸びて世界で一,二位の長寿国であること,及び質の良い医療が極めて安価に提供され,医療が受けやすい等々枚挙にいとまがない.これらのことは自由開業医制をベースとした民間の活力に負うところが極めて大きいと言える.
しかし急激な老齢化,医学の進歩は医療費の高騰を招き,破綻寸前の国家財政が背景となって,医療費削減は現下の急務となり,また医療法が施行された昭和23年当時の医療実態と,35年後の現在のそれとでは「天と地」ほどの大きな乖離となっていることからして,総論的には抜本改正しなければならない時期に来ていると考えている.
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