論評
公的と私的の峻別 ―医療保険―
磯部 文雄
1
1福祉未来研究所
pp.10-13
発行日 2025年7月21日
Published Date 2025/7/21
DOI https://doi.org/10.57527/JUNPO2970004
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「医療保険」と聞いて、本誌「社会保険旬報」の読者がまず思い浮かべるのは、公的医療保険であろう。そのため、この題名を見て「今さら何を」と感じる方もいるかもしれない。しかし私自身の経験をお話しすると、これまで私が医療系の大学生を教えてきた中で、試験などの結果から見えてきたのは、「保険」と聞いて私的医療保険を思い浮かべる学生や、公的・私的の区別がつかず両方を連想する学生が、相当多数にのぼるという実態だった。こうした状況を踏まえ、福祉未来研究所のホームページでは、若者向けに「公的医療保険に入ってる?」というタイトルの動画を掲載するなどして、注意を呼びかけてきた。 私たちには当然と思えるこの峻別が、世間では必ずしも明確に認識されておらず、公的医療保険と民間の私的医療保険がしばしば混同されていることを、改めて実感する出来事が最近あった。本稿ではその出来事を紹介するとともに、混同の是正に向けた対策について提言していきたい。

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