特集 「人間性回復」への動き
「人間性回復」の試み
—国立名古屋病院—薬剤師の乳癌治療グループへの参加
宇佐美 久良
1
1国立名古屋病院薬剤科
pp.48-49
発行日 1981年1月1日
Published Date 1981/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541207356
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医学の日々の進展とともに新薬が次々に開発され,病院における薬剤師の業務量は年々,膨張の一途をたどっている.そして業務の合理化,調剤や製剤の技術向上,患者待ち時間の短縮などに薬剤師の心が向けられ,薬を投げ与える,すなわち投薬という言葉に象微されるように,患者と薬剤師との人間的な触れあいは全く失われてしまった.しかし近年になって患者サービスの一環としていろいろ試みられ,患者と薬剤師の間における人間性回復の兆しがみえてきた.
当院においても,患者との唯一の接点である薬の交付窓口での応対に眼が向けられた.薬を渡すとき,一日も早く病がなおるように祈りを込めて,「おだいじに」と声をかけることから始まった.用法の難しいものは使用説明書を作製して薬袋のなかに入れるとともに交付時には声をかけて説明するようにしている.初めての患者には,処方箋発行時に(新)の記号を付け,その患者には「使用法は分かっていますか」と聞いて使用法について間違いのないようにていねいに指導する.また薬の相談窓口を設け,薬について分からないことは何でも相談に応じている.
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