特集 チェーンホスピタルとは
チェーンホスピタルと今後の医療—ビジネスとしての医療を考える
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木下 二亮
1,2
1木下病院
2全日本病院協会
pp.836-837
発行日 1979年10月1日
Published Date 1979/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206984
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経済と医療
今日世界各国の保健医療に関する行為に対しての費用は巨大産業のそれと優に匹敵する財貨の流通がみられ,その意味からも経済学の関心を呼んでいる.アメリカにおいては医療費の流れは明らかに経済原則に従うとして競争市場にみられる需要—供給の原則に従った費用と資源配分の調整が発達しそれが病院経営会社の発達にまでいたったものである.これに対し英国ではむしろ公共経済学的な展開が進められ医療国営に発展したが,アメリカにおいても最近公共財的扱いが強調され始めている.1975年10月世界医師会総会を機として日医武見会長により医療に対する経済理論の展開が生命の尊厳や医学技術の進歩・絶対性を離れて行われてきたという反省に立って,医学及びその社会的適用としての医療を基盤として新しい経済学理論の展開すなわちメデコエコノッミクスが提唱された.その後技術と人間関係を前提とし人民の福祉向上のための資源開発を有効に機能させるための新しい経済理論の研究が進められてきているのである.このような情勢の中で経済的効率性の追究が優先し市場システムを通じて達成される医療の普及が追求された結果であるアメリカ式チェーン病院の将来については問題があるといわねばならない.
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