医療の周辺医療経済 連載 医療経済の目標と課題—考え方の転換・1
医療経済の一般的考察
前田 信雄
1
1国立公衆衛生院
pp.60-61
発行日 1979年1月1日
Published Date 1979/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206757
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今までの医療経済学は,どうも医療というものの経済学的説明であったり,経済学の手法や考え方の医療への応用を中心としてきた.それ自体意義はあったが,今後はもっと実践的な政策の明確化に寄与するものに進まなければならない.医療経済のあり方そのものに迫るものになることが社会的に要請されている.端的にいえば,数パーセントという対前年比経済成長率の国民経済の中で,5年後の1983年には20兆円に達するであろう医療費はとても支えきれないのである.与えられた経済条件あるいはかなりの経済努力の下での医療費配分,医療サービスの提供はどうあるべきなのか.そこでの系統だった考え方はどういうものか.それへの回答が,従来の説明論や問題指摘だけの医療経済論にとって代るものとして求められている.その考え方の一般論を本章で始めに述べ,各論はその後連載することにしよう.
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