ケーススタディ
植物状態患者—京都第一赤十字病院入院患者の原因疾患別の予後分析
福間 誠之
1
1京都第一赤十字病院脳神経外科
pp.648-653
発行日 1978年8月1日
Published Date 1978/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206611
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
植物状態患者がなぜ社会問題となるのかを考えてみると,まず家族にとって患者はいつよくなるのかまったくわからず,しかもがんのような悪性疾患ではないので,生命予後は比較的良いことから,いつまでこの状態が続くのかさえもわからず,精神的および経済的負担が大きくなる.しかし,一見したところ元気な頃とほとんど変らないようであり,目を開けて見ていて今にも話し出しそうなのだが,自分の意志表示ができないという状態なのであきらめきれない.
一方医療従事者にとっても植物状態になった場合,これを改善させる特別な治療法が確立されておらず,いろいろ試みてはいるが,結局のところ対症療法しかないため,長期間になってくると意欲が低下してくることは否定できない.病院としても患者に手間がかかるだけで,しかも他の救急を要する患者を入院させるベッドをふさいでしまっているという問題も起ってくる.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.