特集 老人医療の課題—退院後のケア
板橋ナーシングホームの運営と問題点
大久保 武
1
1板橋ナーシングホーム
pp.118-119
発行日 1978年2月1日
Published Date 1978/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206444
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ナーシングホームの現況
1)運営方針
板橋ナーシングホームは,東京都が寝たきり老人のための施策の一つとして計画し,昭和51年8月に開設した施設である.それまでは,既存の特別養護老人ホーム「和風寮」が,寝たきり老人のための唯一の公的施設であったが,隣地に新しいナーシングホームを建設したのを機に,この両施設を一体的に運営することとし,名称を「板橋ナーシングホーム」と改め,事業を開始した.ナーシングホームは,外国の場合,アメリカやスウェーデンのように医療施設として位置づけられているところと,西ドイツやフランスのように福祉施設として位置づけられているところがある.
板橋ナーシングホームは,老人福祉法にいうところの特別養護老人ホームで,福祉施設である.したがって,これを利用する老人に対し,日常生活の場として,それにふさわしい生活介護を行っていくことは当然であるが,さらに,利用老人の高齢化・病弱化に対応するため,医療看護機能の充実,心身機能の回復または維持のため,リハビリテーション機能の充実につとめることを運営方針としている.すなわち,福祉施設としての性格を基本としつつ,医療施設的運営を行っていくということである.
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