特集 老人医療の課題—退院後のケア
老人退院後のケアの現状とあるべき姿
大友 英一
1
1浴風会病院
pp.115-117
発行日 1978年2月1日
Published Date 1978/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206443
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老年者の退院後のケアは少なからずの疾患において壮年者,若年者のそれと大きく異なるところはない.しかし,中枢神経系疾患,特に,脳血管障害など運動障害の著明な例,痴呆例のケアについては特殊な問題があり,他の年齢層と大きな相違がある.本項ではこの大きな相違のある脳血管性障害など中枢神経系の疾患を中心に退院後のケアの一般論および浴風園における実状を述べる.
脳卒中後遺症などある程度以上の運動障害があり,退院後通院の不可能な例では家庭に帰って以後は近隣の医師の診療を受けることになるが,病院におけるごとく随時来診を受けることは必ずしも容易でない例も存在する.自己を弁じ得ない運動障害のある症例では退院後家庭に帰るか,医療設備のある施設に入るかにより,いろいろな差が出てき,前者の場合は問題が少なからず存在する.退院後家庭に帰った場合,家庭にいるという気安さから安易な方向に進み,運動麻痺,筋萎縮などが進行し易くなることは明らかであり,一方自己を弁じ得ない場合,家族の負担は極めて大きいものであり,他の家族の生活は大きく乱される.したがって退院とアフターケアとの間に明確な線を引くことが困難なことが多い.
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