特集 見逃してはいけない!アルコール関連問題
【総論】
プライマリ・ケアにおけるアルコール問題の現状とあるべき姿
伴 信太郎
1
1名古屋大学大学院医学系研究科 総合医学専攻総合診療医学分野
キーワード:
アルコール
,
プライマリ・ケア
,
CAGE
,
直面化
Keyword:
アルコール
,
プライマリ・ケア
,
CAGE
,
直面化
pp.928-933
発行日 2013年11月15日
Published Date 2013/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414103022
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はじめに
「プライマリ・ケア(以下PC)におけるアルコール問題」は,高血圧や糖尿病といった健康問題に比べると特殊な問題と感じられるかもしれない.しかし,アルコールは予防可能な死亡原因として,米国では,たばこ,肥満に次いで3番目に位置づけられており,高血圧,肝硬変,胃炎,胃潰瘍,膵炎,乳癌,神経障害,心筋障害,貧血,骨粗鬆症,認知障害,うつ病,不眠,不安,自殺,外傷,暴力等の原因となっていて1),実はきわめて大きな問題である.それにもかかわらず,その大半は水面下に隠れた氷山のごとき様相を呈していて,とくに日本では,PCの場でのアルコール問題に関する研究もほとんどないのが現状である.
本稿では,日本におけるアルコール問題の頻度に触れた後,PCの現場でのアルコール問題の発見と対応の現状に関して,私たちの研究データに即して述べる.次いで,PC医がどのようにアルコール問題をスクリーニングすべきかについて触れ,最後にアルコール問題を有する患者に対して,どのように介入すべきかについての文献的なエビデンス,および筆者の経験に基づく対処法について述べる.
問題飲酒者がアルコール関連の問題で一般外来や救急外来を訪れたり,入院したりした場合に,「酒を飲める身体にして帰す」だけに終わらせない対応ができるようになるための臨床能力は,PC医にとって必須のものである2).
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