医療への提言・9
社会的選択を迫られる医療
水野 肇
pp.71-74
発行日 1977年3月1日
Published Date 1977/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206186
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医学が発達すればするほど,社会との接点が難しくなってくる.医療技術としては可能なレベルに達していることでも,それを実施していいものかどうかをめぐって議論がおきる.臓器移植や人工臓器の国際学会では,提出される議題の60%以上が社会との接点をテーマにしたものである.この問題は,1960年代の終わりに「心臓移植」が実施されて以来,引きつづき議論の対象となっているが,全般的には,心臓移植手術は実施されていない.しかし,このような医療の根本を考えさせられる問題は,このところ非常に増えているように思われる.このような問題は快刀乱麻に解決できるものではないと思うけれども,考え,悩み,模索することによって,医療に対する心がまえのようなものができてくるのではないかと思う.そこで,このような問題をいくつか考えてみよう.
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