医療への提言・2
医師と患者の間
水野 肇
pp.52-55
発行日 1976年8月1日
Published Date 1976/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205982
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医療問題が世界中でむずかしくなってきているのは,財政問題が大きな理由のひとつにあげられているが,実は財政問題のかげにかくれているものとして,医学の発達による医師と患者の人間関係の喪失ということがあげられるだろう.決して財政問題のように焦点という形をとらないが,実際には深刻であるだけでなく,医療を根底からゆるがすような要素をもっているのではないかと思われる.そこには医師の倫理,科学に対するものの考え方,国民の医療への権利と,その裏側にひそむエゴイズムなどが,複雑にからみ合って,結果として医師と患者の間に,一部には相互不信さえ起きている.
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