特集 病院と輸血管理
輸血管理体制の実態—アンケート集計より
山崎 順啓
1
1東京慈恵医大・輸血部
pp.31-34
発行日 1976年8月1日
Published Date 1976/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205974
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
輸血という特殊な医療行為がスムーズに行われるためには,一連の管理体制が非常に重要であることは論をまたない.この場合,管理とはいったい何かという素朴な質問に対してまず考えてみる必要がある.ちなみに管理という言葉を辞書でひいてみると「物を保存し取り締ること。受け持ってめんどうをみること,管轄し取り締ること,事務の処理や経営をすること」などとあるが,輸血の管理の場合にもこれらの意味がすべてあてはまると考えてよい,というのは図1に示すごとく,採血から患者に輸注されるまでにいくつかの過程と人手を経てはじめてその実をあげることができるからである.こうした輸血管理の実情を考える場合,管理過程を採血機関におけるものと医療機関におけるものとに大別し,性格・規模・構成メンバー・業務内容等一つ一つを取りあげてみても各機関それぞれその特徴を持っており,そこから生れてくる個々の機能と同時にこの関連性が非常に重要な意味を持ってくることは当然である.
さらに一歩すすめて輸血管理体制を論じる場合,忘れてならないことは個々の問題を掘り下げ,さらに大きな流れをとらえ,その中で個々の問題を再び考え直さなければ,現状の把握と将来の展望につながらないということである.では大きな流れとは何かと言えば,それは一口で言えば国の施策であり細かく観じくれば厚生省の方針であり,文部省の考え方であり,大蔵省の血液事業に対する力の入れ方であり,さらに輸血学会の推進力である.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.