特集 病院と輸血管理
輸血部の最新のシステム
臼井 亮平
1
1日本大学医学部輸血部
pp.25-29
発行日 1976年8月1日
Published Date 1976/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205973
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日本における輸血センターの開祖は昭和25年日赤中央病院の一部に設立された.その後民間血液銀行が発足し,大学病院などにも輸血部ができて輸血が枕元輸血から病院の一組織として機能化されるようになった.当時はごく少数の知人,家族を除けばほとんどが売血の供血者であり,保存血も売血者より調製されていた.昭和37年から売血供血者による社会的批判と輸血後肝炎の発生の多いことから献血による輸血用血液の確保が国家的見地から解決されるようになり,日赤が中心となって現在の制度に移行したのである.
大学病院,大病院には輸血部が設立されるようになり日赤血液センターとの業務提携のもとで円滑な輸血ができる体制下にあるが,最近血液成分療法(blood compo-nent therapy)について日本医師会,日本輸血学会から血液の有効な利用と全血輸血による副作用が指摘された.輸血の革命ともいうべき時期に到来したのであるが,成分輸血の行われている病院はまだ少数であって,全輸血量から見ればこの問題は,これから積極的に適応を選んで推進すべきである.血液成分療法が全輸血量の何%を占めているかによって,その病院の治療内容の格づけになるとまでいわれている.
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