特集 医療事故と病院
紛争処理機構をどう確立するか
畔柳 達雄
pp.29-34
発行日 1975年8月1日
Published Date 1975/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205680
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はじめに
医療事故を契機として,医師は3つの側面から,その法的責任を問われることになる.
その第1は,国家が医師を刑事的に処罰しうるか否かの観点からであり,刑法の定める業務上過失致死傷罪の成否という形で論じられる.第2は,医師免許制度との絡みで,国家が医師を行政的にどのように取り締るかという見地から議論される.これらは,いずれも国家対医師という縦の関係であるが,事故によって受けた患者ないしはその家族(以下「患者側」という)の損害を,医師が賠償すべきか否かという側面から,すなわち私人どうしである医師と患者側との横の権利・義務関係について検討されるのが,その第3である.
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