ホスピタル・マンパワー
病院給食の輝かしい先達—名古屋第一赤十字病院栄養課長 安永 幸生さん
田代 勝洲
1
1名古屋第一赤十字病院
pp.58
発行日 1975年1月1日
Published Date 1975/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205521
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飛騨の「角正」じこみの腕
安永君は,円満折目正しい人である.病院給食が一定の金額で2,400Calを要求され,栄養も十分なければならないというきびしい条件の下で,私の病院が当地方で指導的立場にあることは,君の力に負うところが多い.昭和31年2月,君が病院に赴任されて給食は院の内外から確固たる信頼を得ている.飛騨の高山市に「角正」という有名な精進料理屋がある.そこの料理長をしていて私の病院に赴任された.栄養士で調理士で,実に熱心で,‘病院給食は治療の一環である’というのが君の信念である.この考えが実際に生かされているのがわが病院である.
君の履歴を見ると,昭和8年に東京で商業学校を卒業して魚河岸の店で働き,料理の日本的良いものを学びたい熱望から飛騨の「角正」に移ったという.そこで6年の経験を積み東京で食糧学校,厚生省の栄養研究所で栄養学を学び,福岡県の衛生部公衆衛生課に勤務した.その後昭和28年「角正」が名古屋に店を出すのでその責任者になって当地に来て,同店が閉鎖後,わが病院に来られた由.いろいろのことを身体で経験した後であるが,病院という特別な条件をよく研究されて,独自の道を拓かれたと思う.
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