時評
健保抜本改正の評価
け
pp.59
発行日 1972年6月1日
Published Date 1972/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204686
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しろうと目でみて
昨年7月に行なわれた保険医総辞退がもたらしたものの評価は論議のあるところであるが,結果として医療の問題は国民的な規模の論議が必要であることを強く印象づけたことは事実であろう.どちらかというと医療提供者と政府の担当省庁とのコップの中の嵐と考えられてきたことを,より広い舞台での検討の場に引きずりだしたことは望外の幸せであった気がする.
その結果,総辞退収拾の際の公約の1つである医療保険制度の抜本改正案がようやく5月16日国会に提出され.国会での論議が始まったが,そこでの論議は国庫負担の割合の与野党の,駆け引きに象徴されるように,国民的規模での論議という感じからはほど遠く,政治的レベルでの論議のみが行なわれたとの印象しか与えなかった.もちろん医療問題が今日最も政治的問題となりやすい性格をもつことを否定するものではない.過去においても,また将来においてはますます,医療の問題が政治の目玉商品になるであろうことは予想できる.しかし抜本改正案の原案発表から,いわゆる1/2財政調整案の撤回,公聴会での議論など,発表されたものから見る限りにおいては,あまりにも感情的義論,政治的駆け引きのみに終始した感じが深い.
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