特集 企業会計の反省
地方公営企業法のもたらした功罪
尾口 平吉
1
1新潟県立十日町病院事務局
pp.33-38
発行日 1970年11月1日
Published Date 1970/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204145
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地方公営企業法の適用
地方公共団体が経営する水道・交通・ガス事業などの経営を効果的に行なうために企業性を導入しようとして,昭和27年地方公営企業法が制定された.地方公営企業法は,企業の組織・財務およびこれに従事する職員の身分取り払いなどについて,地方自治法・地方財政法・地方公務員法の特例法として定められたものであった.
当時,病院事業については,この法の適用は地方公共団体の任意とされ,条例で定める場合のみ,その全部または一部(財務規定)を適用してもよいものとされていたが,その後,常時府川される職員の数が100人以上のものについては,財務規定のうち第17条の2の独立採算規定(地方公営企業の特別会計においては,その経費は,当該地方公営企業の経営に伴う収入をもってあてなければならない)を除外して財務規定のみを適用することとなった(条例によって法全部適用の道も開かれていた).この趣旨は,病院事業葉は独立採算制になじまないものであるが,病院事業といえども1つの企業であり,企業経営の実態を明確にすることは,地方公共団体として住民に対する当然の責務であること,病院自体においても合理的な経営を行なうために必要であることによるもので,いわゆう官庁交計方式から脱却して企業会計方式を採用するための措置であった.この意味においては,わが国の病院界における企業会訓方式採用の先駆的役割を果たしたものといえるであろう.
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