病院営戦前戦後・8
病院組織の変化(1)
山元 昌之
pp.72
発行日 1970年8月1日
Published Date 1970/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204050
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わが国の戦前の病院は,医師の仕事場的性格が強かったといわれる.このことは,わが国の病院が外来から発達したといわれるのと同じ意味で,たとえば総合病院についてみると,各診療科の長を頂点とした単科病院が集まったようなかっこうであった.したがって診療各科は病院組織上の単位となり,その長の下に後輩の医師と看護婦が配置され,科によってはさらに技術員も配置される.病棟も各診療科ごとに固定して,診療科所属病棟(あるいは病室)であった.検査も現在のように高度ではなかったが,各診療科の中だけで処理される.
手術場もメッサザイテは各科ごとに持つ.小規模の病院で,各科ごとに手術場の持てない場合でも,手術場に専属看護婦の配置はなく,手術のつど,各科から医師が看護婦を連れていってその手術場を使うというのが通例であった.もちろん中材はなく,消毒や材料準備はそれぞれ各科で行なっていた.したがって当時の病院組織は,一般に図1のようであった.
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