病院経営戦前戦後・12
病院組織の変化(5)
山元 昌之
pp.72
発行日 1970年12月1日
Published Date 1970/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204192
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患者収容態勢のうち,最後に寝具設備をふり返ってみよう,昭和20年の初めころから,空襲が激しくなった.病院は爆撃しないはずだから,病院の屋上に標示をしたらどうだ,などと大まじめに議論しているうちに,夜間の無差別大爆撃が始まり,軍需工場も,住宅も,学校も,お寺も,病院もいっさい区別なしに焼き払われた.焼かれた病院では,物資のないときで,寝具の補充がつかないので,それから後は入院患者に寝具を持ってこさした.これが実情だ.
この当時の状況をみて,戦前はベッドにふとんはついていなかったと思っている人たちもいるようだが,それは大きな誤解で,むしろ今日のようにベッドと寝具とを切り離した考え方のほうがおかしい.
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