リハビリテーション施設のあり方(3)
リハビリテーション・センターの建築計画—その基本的な考え方について
上田 敏
1,2
,
陳 慧玉
3
,
小滝 一正
3
1東大中尾内科
2東大中央診療部リハビリテーション・センター
3東大工学部建築学科吉武研究室
pp.79-85
発行日 1967年1月1日
Published Date 1967/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203021
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はじめに
リハビリテーションに対する関心のたかまりを反映して,最近多くの病院でリハビリテーション部門の新設・増設,あるいは独立のリハビリテーション専門病院の設立などの動きが全国的にみられるに到っている。これは非常に好ましい動きであるが,建築計画・設計の面からみた場合,それらのすべてがリハビリテーション・サービスの特殊性を十分理解した上で作られたものということはできない。その原因の一つは適切な資料の不足であり,もう一つは設計にあたる建築家にも,時には建築主体である医師側にもリハビリテーションの本質とそれがどれほど深く建築計画の隅々まで影響を及ぼすかが具体的に理解されていないことにあると思われる。リハビリテーションの理念自体が従来の医療形態のうちのある面への批判を内臓し,それを超えようとするものであると同様に,理念の具体化である建築においても,多くの点で従来の病院建築の考え方の枠をはみ出るものがあるのは当然である。それをできる限り意識的,理論的に把握する努力なしにはリハビリテーション施設の建築の正しいあり方の探求は不可能であろう。
現在この分野で何よりも必要なのは,国内外の資料の蒐集とその批判的分析,実際の建築設計とその使用状況調査等を通じてのこの問題の理論的および実際的な研究であり,それは医師をはじあとするリハビリテーション関係者と建築家との共同研究によってもっともよく行なわれうるものと思う。
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