病院図書館
—小林冨美栄 宇川和子 共訳—「患者ケアの問題点と新しい方向」
姉崎 正平
1
1病院管理研究所
pp.65
発行日 1966年11月1日
Published Date 1966/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202985
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看護の現場を社会心理学で料理
Esther Lucile Brown女史のNewer Dimensions of Patient Care 3部作の第2部の日本語訳が出版された。著者Brown女史は,アメリカの社会学者で,特に医療や看護の領域について造詣が深く,研究,実践両面を通じてアメリカの看護界と緊密な協力関係にあると聞く。
さて,本書を一読して感心することは,その内容および構成の見事さである。まず内容については,医療や看護の現場から得られた豊富な事例が,既存の研究とともに,きわめて適切な社会学あるいは社会心理学の理論で説明され,整理され,しかも解決法まで示されている。医療や看護の現場から得られた材料を,既存の研究成果で十分味つけし,社会学ないしは社会心理学の理論で料理し,さらにそれらを現場の人びとに提供しているのである。しかも,それらが消化しやすいように配列されている。すなわち,冒頭に最も切実な問題である"人手不足"について,業務が十分にできない正当化のいいわけ(合理化)にしていると警告し,十分読者の関心を理解していくうえで必要とされる社会心理学の公式をまとめて解説。
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