特集 病院医師の組織
外科主治医論
小原 辰三
1
1国立東京第一病院
pp.24-27
発行日 1965年10月1日
Published Date 1965/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202679
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わが国の病院では患者と医師との結びつきが一般に不明瞭であって,しばしば受持医というコトバが使用されている。この受持医という医師の中には,いわゆる主治医はもちろん,助手医もふくまれている。さらにこの上に医長があって,医長と受持医の関係も時には主治医と助手医の関係とも考えられる場合が多い。この点病院の医師を組織の上に位置づけることが困難であり,各医師の権限,責任義務が不明確となり,また一方患者の側から見ても,複数の受持医のあり方を理解するのに相当に困難であり,このために種々なトラブルが起こる原因ともなっている。
医師であれば,すべての医療行為をおこない得るのであるが,患者の診療に当たっては各医師の臨床経験によって一定の格差をつけるのは当然であろう。ことに外科においては,手術という重大な侵襲を加えるのであるから,診断の適確性,患者の状態の把握,手術の適応,術前後の処置のほかに手術手技の熟練など,すべて臨床訓練によって経験を重ね,学理に照らして修練する必要がある。また,外科手術においては介助医師の協力が密接におこなわれなければならない点からも,手術に際しては主治医の責任と義務を明確にしておく必要がある。
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