予防と臨床のはざまで
主治医と産業医の連携
福田 洋
1
1順天堂大学医学部総合診療科
pp.696
発行日 2017年8月15日
Published Date 2017/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208728
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東京での第90回日本産業衛生学会の興奮冷めやらない2017年5月14日に,高松で開催された第8回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会へ参加し,インタレストグループ「主治医と産業医とのより良い協力関係を目指して」において話題提供を行いました.学会場には,香川名物の讃岐うどんの屋台コーナーもありました.今回の企画は,三重大学の北村大先生,市川周平先生にお声がけいただき,厚生労働省労災研究(横山班)の成果を元にして,プライマリケア(主治医)と産業保健(産業医)の連携について議論を行いました.
最初に,三重大学の北村,市川両先生から,三重大学での研究成果を基にして作成されたプライマリ・ケア医向けのマンガ入りの教育媒体「主治医と産業医のよりよい協力関係をめざして」が紹介されました.主治医と産業医の連携の必要性の認識について,主治医側での認定産業医資格の有無や嘱託産業医経験に左右されること,疾病について連携に差があることなどが報告されました.疾患別の連携の認識の高さは,メンタルヘルス疾患>脳血管障害・虚血性心疾患>周産期>腰痛>がん>糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病の順となっており,本来,連携が必要な疾患でも連携が不十分な現状が示されました.また,教育パッケージからの“take home message”として,個人情報の取り扱い,外来での職歴聴取の重要性,診療情報提供の方法,連携の最大のキーパーソンは患者であり,会社を離れた立場で説得できる主治医の強み,が話されました.
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