特集 病院医師の組織
病院組織における医師の位置と責任性の問題
石原 信吾
1
1虎の門病院
pp.28-32
発行日 1965年10月1日
Published Date 1965/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202680
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1.まえがき
医師の働きは元来組織にのらないものだとか,のせるべきではないとかいう議論をよく聞く。医師の働きというものの性質が,そういう議論を生む実質をそなえているからであろう。
しかしながら,わが国の病院ではそのほとんどが組織の中に医師を含んでおり,医師は身分上閉鎖的にそれぞれの病院に所属しているのがふつうである。この,元来組織にのるべからざるものが組織にのせられているところから種々の問題が生ずる。しかも,それらの問題は,大体すべてがすこぶる明確さを欠き,一般に容易に核心がつかめないところにその特徴があるようにみえる。組織の問題自体につきまとう晦冥さや,医師業務本来の特異性などがその原因にあげられようが,一方そこに,わが国の病院組織形成上の沿革的事情が大きく作用していることも否定できない。同時にまた,医師自身の側のこの問題に対する関心や理解の欠如も問題にする必要があろう。たとえば,病院組織における医師の位置やその働きのもつ意味の問題,あるいは主治医権ないしはそれと医長責任との関係の問題などについては,そういう問題があるということすら医師には一般に理解できないのではないかと思われることがしばしばある。それと,もう1つ見のがすことができないのは,医師の側におけるそうした問題への不可解な感情的反発の存在である。そんな問題を提出したということだけで,医師から大いに反撥をうけるというような場合も少なくない。
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