特集 看護婦不足の現状と対策
看護婦不足の制度上の対策
山田 里津
1
1厚生省医務局看護課
pp.16-20
発行日 1964年9月1日
Published Date 1964/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202415
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終戦直後の混沌とした世相の中で,医療の中の看護問題がようやく浮び上がってきたときから,現在に至るまでの17年間を看護行政一筋にきましたが,この間常に大きな課題として取り上げられたのは看護婦充足問題であり,現在に至るもなお解決をみない大きな課題として残されている。特に地方においては,中央からは想像もつかない不足状態を示しており,これは施設の経営主体,地域差,待遇問題などいろいろの要素により影響されるが,地方で働くこと自体に魅力を感じない若い人たちが,少しでも条件のよい施設を都市に求めていくことにもその原因があると考えられる。現在就業している看護職員数は,毎年1回厚生省でおこなっている全国医療施設調査の結果では第1表のとおりである。
現行医療法による基準等により算出すると,看護婦等の充足率は約90%程度と推定されているが,実際には施設間の偏在,医療法基準によらない特殊部門勤務などにより,その不足は相当の数になるものと推測され,あいかわらず毎年70%台の充足率に苦しんでいる県が多数あり,地域による格差は著しいものがある。私の前任地の三重県で,最近県下の医療施設(病院のみ)を全部詳細に看護部門について調査したことがあるが,基準看護承認施設が全体の35%あるにもかかわらずその施設の看護要員は1名でも欠けると基準数から外れるものが52%あった。
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